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  • 2026.6.2

    「花の雫は、やがて甘みになる。——レモンの花・蒸留会レポート」
    「花の雫は、やがて甘みになる。——レモンの花・蒸留会レポート」





    レモンの花蒸留会レポート

    レモンの花が咲く、ほんのわずかな季節。その短い命を蒸留という形で受け取る機会が、高槻本校で開かれました。白い花弁に隠れた甘みと柔らかな余韻——参加者が五感を使って植物の本質に近づいた、一日のレポートです。


    レモンの花との出会い——マントンから高槻へ

    ザルいっぱいに広げられた新鮮なレモンの花

    「レモン」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、果実の黄色い酸味ではないでしょうか。でも今回の主役は、果実ではなく「花」です。開講前から参加者の間では、フランス・マントンのレモン祭りの話題が飛び出しました。祭りの華やかな賑わいとは対照的な、一歩街を離れた静かな山と海の風景。そこで味わったレモンのソルベの記憶——そういった物語が重なり合い、会場に温かな期待感が広がります。

    ドミニク先生は、蒸留を前にしてこんな言葉を口にしました。「植物は生きているもんだから、成分の話は後でいいんですよ。まずは彼らが生きているということ、その命に触れることを大切にしてください」。技術の話に入る前に、植物への敬意から始まる——それがこの蒸留会のトーンを決定づけました。


    水蒸気蒸留か、水蒸留か——素材を「読む」という技術

    ドミニク先生がアランビックにレモンの花を投入する様子

    今回の蒸留会では、水蒸気蒸留と水蒸留の使い分けについて、実践的な視点から解説がありました。

    水蒸気蒸留では、アランビックの釜の中に水と植物を分ける網(グレーティング)を設け、その間に十分なスペースを確保することが必須です。先生が特に強調したのは「密閉」の重要性。「密閉こそがアランビックの命」という言葉通り、わずかな蒸気漏れでも品質に影響します。

    一方、レモンの花やジャスミンのように薄い花弁を持つ植物は、水蒸気で濡れると互いにくっつき合い、網を詰まらせてしまいます。そのため今回は、水の中に直接花を入れる「水蒸留」を選択。素材の性質を見極め、適切な方法を選ぶ判断力こそが、蒸留家の腕の見せ所です。

    熱源の選択について
    電気(IH)は沸騰に脈動が生じ、水が植物に跳ね上がる不安定な状態になりやすいのに対し、繊細な火加減が調整できるガス火が最も蒸留に適していると先生は話します。小型の装置でも、あらかじめお湯を使って昇温を短縮する工夫で、手近な素材の小ロット蒸留が現実的に楽しめます。


    アランビックの中のレモンの花

    銅のアランビック釜にたっぷりと入れられたレモンの花

    銅のアランビックに、摘みたてのレモンの花が静かに沈んでいきます。黄色い雄しべが花弁の白さに映え、水面に浮かぶその様子はどこか儚く、しかし確かな存在感があります。収穫したての素材は熱がこもりやすいため、仕込み前に陰で広げて熱を抜く工夫も大切です。花弁はとても繊細なので、素材の状態を観察しながら丁寧に仕込んでいきます。


    分画が描く変化のドラマ——五感で追う蒸留の時間

    白い皿に並べられたレモンの花のクローズアップ

    今回は抽出液を時間ごとに分ける「分画(フラクション)」を実施しました。最初に現れるのは水に親和性の高い「酸」の成分。続いてテルペン、ケトン、モノテルペノールと変遷し、最後に「エステル」が登場します。

    先生からは重要な知見が示されました。「初期に酸をたくさん引き出しすぎると、後半にアルコールと結合して生まれるエステルが少なくなる」というトレードオフの関係です。このバランスをどう取るかが、蒸留の深みでもあります。

    試飲では、レモンのハーバルウォーター特有の「ビスケットのような甘み」や「喉の奥に残る長い余韻」に驚く声が上がりました。先生は「1、2、3回目で水の味や匂いを感じ始めたら、成分が減ってきたサイン」と話し、この日は4回目を前に蒸留を終えることを選びました。植物が「役割を終えた」と告げるサインを見逃さない——それもまた、蒸留家の大切な感覚です。

    1ヶ月の熟成という時間
    蒸留直後のハーバルウォーターはまだ荒々しく、本来の香りに落ち着くまでには時間がかかります。今回のレモンのハーバルウォーターも、約1ヶ月休ませてから使うことが勧められました。熟成後は香りが丸みを帯び、スキンケアのミストやマウスウォッシュ(ぬるま湯で約5倍希釈)、スイーツのアクセントなど、日常の様々な場面で活躍します。


    植物を「生きている存在」として見ること

    アランビックの中で水に浮かぶレモンの花

    蒸留の合間に話題となったのは、ローズマリーの防御メカニズム。太陽が強くなる日中、葉の表面に備わった揮発性エッセンスの袋を自ら破り、香りの霧で紫外線から身を守るという話には参加者も聞き入りました。「朝の5時から6時頃に葉の形を観察してみてください。自分を守るために、葉がギュッと細く変化するんです」と先生。

    また、ラベンダーの蒸留適期についても印象的な解説がありました。満開のときではなく、蜜蜂が採蜜を終えて種が出始める頃こそ、エッセンスが最も豊富になるのだそうです。植物の生態を理解することが、蒸留の質を決める——そんな視点が、この蒸留会を単なる技術講習以上のものにしていました。


    ドミニク先生からのコメント

    満面の笑みのドミニク先生

    植物の生態から蒸留の化学まで、縦横無尽に話題が広がるドミニク先生の蒸留会。この日も、レモンの花と向き合いながら、植物を「生きた存在」として理解するための視点を丁寧に伝えてくださいました。

    植物は成分の集合体ではない
    「成分は後でいいんですよ。植物は生きているもんだから、まずはその命に触れることを大切にしてください。ローズマリーさんがここにいる——そういう気持ちで向き合ったら、全部つながってくる」

    自分で作ったものは、惜しまず使って
    「自分で作ったものは、もったいないと思わずに惜しみなく使いなさい。植物の恩恵を使い切ることこそが、彼らへの最大の感謝なのです」

    次回・次々回の蒸留会について
    次回のベチバー回(6/3)は、九州・八女でベチバーのハーバルウォーターを使った商品を手がける片山さんをゲストにお迎えします。大地の奥深さを感じさせるベチバーの世界を、現場の声とともに探求する一日になりそうです。7月以降は「レモンバーム蒸留と夏のシロップ作り(7/7)」「ラバンジン蒸留とラベンダー探求(7/27)」と、夏の植物を楽しむ回が続きます。どうぞお楽しみに。


    Distillerie · 季節の植物を学ぶ蒸留会

    今後の蒸留会スケジュール

    季節の植物をアランビックで蒸留し、ハーバルウォーターを手づくりする少人数制のワークショップです。次回以降の開催をお見逃しなく。

    6月3日(水) ベチバー 申し込む
    7月7日(火) レモンバーム蒸留と夏のシロップ作り 申し込む
    7月27日(月) ラバンジン蒸留とラベンダー探求 申し込む


    蒸留会の詳細を見る


    出張開催のお問い合わせ

    現在申込受付中の講座

    日程 講座名 場所 申込
    6月1日(月) クレイ入り石鹸作り(固形) 高槻本校 申し込む
    6月1日(火) クレイ入り石鹸作り(液体) 高槻本校 申し込む
    6月3日(水) 蒸留会(ベチバー) 高槻本校 申し込む
    6月10日(水) クレイ美容講座
    オンライン開催
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    6月10日(水) クレイ完全講座
    オンライン開催
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    7月6日(月) フェイシャルパック技術セミナー 高槻本校 申し込む


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    文責:アロマ・フランス コレッジ
    運営:アロマ・フランス株式会社
    https://www.aromafrance.net/


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